◆所蔵品から◆資料ナンバー7834・5954・6165 陸軍蚊追粉・蚊取り線香・蠅取粉の話
資料班
陸軍蚊追粉
7月号なので、夏らしい話題を、と思ったのです。それでなんでハエとカなのか。虫の苦手な方には申し訳ないですが、今月は殺虫剤シリーズ。陸軍蚊追粉・蚊取り線香・蠅取粉の3点です。
虫の画像は2か所しか出て来ません。そんなに生々しくないです。虫はパス、と思っている方も、どうかお付き合いください。
陸軍蚊追粉 包みの上端(左)・下端
まずはこちら。陸軍蚊追粉。直径約4センチ、長さ約18センチの筒状の紙の包みです。中には黄褐色の粉が詰まっています。筒の上の端は紙をひねってあるだけなので、動かすと粉が少しずつ出てきてしまいます。保管に注意が必要みたいです。
陸軍蚊追粉 包装紙の説明文
包み紙には説明が印刷されています。
最初に「陸軍蚊追粉 大阪陸軍需品支廠」
最後に「昭和十八年十二月 大同除虫菊株式会社納」
その間は使い方の説明になっています。ざっくり説明すると、
・除虫菊の粉で人畜に無害である。
・粉を山盛りにして中腹あたりに火を付け、煙を出して、蚊の群れを「撃滅」することができる。煙が消えないように途中で粉を上からふりかける。
・蚊の群れが「退散」したら、渦巻き蚊取り線香で、「再来」を防ぐ
・燃やさずにノミ・シラミ・南京虫等の虫よけにも使える
・なるべく濡らさないように。燃えにくい時は紙くずや枯葉と一緒に燃やす。
というようなことが書いてあります。
屋外で活動あるいは休息をする兵士たちにとって、、蚊から身を守るのは大切なことだったのでしょう。
蚊取線香キクニッポン
蚊取り線香です。
「蚊取線香キクニッポン」
マーガレットみたいな花(除虫菊)と日本の地図のイラスト。右の方に貼ってあるラベルに、「日本除虫菊製品工業組合 昭和十八年度検査合格証票」とありますので、日本の地図も、昭和十八年当時の日本、ということになります。
左右には黄色い煙を出す渦巻きと、煙のなかのハエとカのイラスト。虫はだめ、という方は、さらりと通り過ぎてください。
中身はこんな感じ。
蚊取線香
封筒のような紙袋に入っていて、開けて取り出すと、2本の黄褐色の渦巻きが組み合わさって入っています。さっきの蚊追粉の中身と同じような色です。断面は四角くなくて丸い。チューブからにゅーっと渦巻き形に絞り出したみたい。
厚紙にうさぎの耳みたいな金具がついたのが箱の中に1つ入っていて、2つに切り離して十字に組み立てると線香を燃やすときのスタンドになるのです。渦巻きの中心のほうの端に金具を差し込んで固定する穴があいていないので、うさぎの耳みたいなところの間に蚊とり線香をはさんで固定していたのでしょう。
蠅取粉
蠅取粉。
ライオンと、菊の花の絵。
「登録商標」「効力峻烈」「人畜無害」「ライオン蠅取粉」「30瓦(30グラム)」「大同除虫菊株式会社」の文字。
最初の蚊追粉と同じメーカーのようです。今でも、ライオンケミカル株式会社という名前で、蚊とり線香を作っています。
厚紙の、平たい円筒状の容器(直径8.3センチ)で、横の面には黄色いテープで封がしてあります。
蠅取粉左:噴出口のシール
右:容器下面のシール
横の面の、ちょうどライオンの頭の上あたりに、楕円形のシールが貼られています。
シールには、「噴出口」「此の紙を御取り下さい」と書いてあります。
シールをはがして、容器を上下につぶすようにぱふぱふっと押すと、殺虫剤の粉末が噴出口から出てくる仕組みらしい。缶入りスプレーの殺虫剤と同じように、虫に向かってぷしゅっとしていたのでしょうか。
詳しい画像はこちらからどうぞ。
http://www.peace-aichi.com/20130723_haekatori.pdf
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http://www.peace-aichi.com/05_objects.html