資料ナンバー9-1 「ヱノホン 二」の話 資料班


 
展示

「戦争と子どもたちのくらし」展示 教科書

 現在、ピースあいち子供企画展「戦争と子どもたちのくらし」で展示中の資料です。
 写真右端の、「兵隊さん」の絵の本。題は「ヱノホン 二」です。「二」は片仮名ではなくて漢数字の2です。「ヱ」も、じつはふつうのエではなくて、「ゑ」の片仮名です。
 ヱノホン(絵の本)といっても、工作・粘土・デザインの項目もあります。現在なら「図画工作」の教科書になるのでしょうか。

ヱノホン二 13 カルタ

ヱノホン二 13.カルタ

 この本が発行されたのは昭和16年(1941年)です。「戦争と子どもたちのくらし」展のパネルにも出ているのですが、この年から小学校が、(尋常小学校から)国民学校に変わるのです。
 この本の「カルタ」のページにこんなのがあります。「ボクラハ/ニッポン/セウコクミン」(/のところで改行されています)セウコクミンを漢字で書くと少国民。国民学校へ通う年齢の子どもは「少国民」と呼ばれていました。

 表紙をめくったところにある「モクロク」のページを見ると、26の項目があります。

表紙と「モクロク」

表紙と「モクロク」

「ヱノホン 二」より

「ヱノホン 二」より 2.オイハヒノ チャウチン

 それぞれが見開き2ページに入っていて、左ページが白黒、右ページがカラーになっています。


 工作と粘土のページです。紙の工作は展開図(ヒライタ ヅ)と完成形が載っています。「キビガラ」を使った工作もあります。「きびがら」は、とうもろこしなどの茎の芯のところです。切ったり、竹ひごを刺してつないだり、色をつけたりという加工が割と簡単にできる素材なのだと思います。

「ヱノホン 二」より

左から、16.犬ト 犬ゴヤ 1.オウチノ 人 9.イロガミ入レ

 落ち葉を並べたり、ます目に色を塗ったり、色紙を切り抜いたりして模様(モヤウ)を作るページ。

「ヱノホン 二」より

左から、10.ハ ヲ ナラベル 12.ゴバン目ヌリ 17.キリヌキモヤウ

 日の丸と飛行機のページ。上段左の絵は、赤いたすきの人を送り出すところです。後ろからついてきている人たちはみんな口を開けています。声をそろえて、歌ったりしていたのでしょうか。
 このページのテーマは「14 ニフエイ」なのですが、ニフエイって何なのか、最初はわからなかったのです。最初のニは漢数字の2のようでもあるし、「モクロク」の文字を見るとエが小さいようにも見えるし。2フェイって何?と、悩んでいました。「入営(にふえい)」だ、と気づいたときは、すっきりしました。

「ヱノホン 二」より

左から、14.ニフエイ(2枚) 13.カルタ

「ヱノホン 二」より

左から、24.ヒカウキ(2枚) 25.ヒカウキノ モヤウ

 絵もあります。
 いろりを囲んでいる「おうちの人たち」は、お父さんがいないみたいです。戦争に行ってるのでしょうか。

「ヱノホン 二」より

左から、4.ウンドウクヮイ 18.オウチノ 人タチ 26.赤イ リンゴ


さらに「ヱノホン」の内容を見たい方はこちらをどうぞ。
http://www.peace-aichi.com/20121022_enohon2.pdf

ピースあいちウェブサイトの、収蔵品の紹介のページからは、バックナンバーの関連画像が見られます。よかったらこちらもどうぞ。
http://www.peace-aichi.com/05_objects.html