資料ナンバー7737 安全吸入器 の話 資料班


 
吸入器 箱

大川式安全吸入器

 今回はこちら。最近寄贈されたものです。
 吸入器。のどに湯気を当てたり薬の霧を吹き付けたりする器具です。
 箱入り。箱のふたには「大川式安全吸入器」「発売元 いわしや器械店」「公私立各病院御用命品」「平和博覧会金牌受領」の文字があります。文字の装飾や植物模様はアールヌーボー風というかアールデコ風というか。流麗な曲線とくっきりしたコントラストでモダンな感じです。
 発売元のいわしや器械店。なぜ「いわし」?と思ってインターネットを見てみると、「いわしや」は医療機器関係では由緒ある屋号のようです。
 この吸入器の発売元のいわしやは、「東京市日本橋区本銀町 いわしや医科器械舗」です。

写真 吸入器

「使用法」欄の説明図 左の図のように組み立てる。
右の図は、「ろうと」を使って「釜」にお湯または薬液を入れているところ

 箱の横には「大川式安全吸入器の特長」。要約すると…(一部原文の言い回しを残しました)
 ・黄銅にニッケル鍍金(めっき)で丈夫、さびない
 ・蒸気が水になっても「ホヤ」(ラッパ状の部品。ここから出る蒸気を吸う。)の形と付属の「ろうと」によってこぼれたりしない(滴受けコップに流れる)。
 ・釜は金属絞り出し製、破裂の憂(うれい)なし。「ゴムパッキング」と「スプリング」によりさらに危険の憂(うれい)なし。
 ・組み立て式で、携帯便利
 ・ランプの芯は壺と密着。引火の危険なし
 ・釜は150グラムの大容量
 ・「ろうと」によって水の注入も排水も簡単
 ・ゴム引胸掛添付しあれば衣類に湿気を受くることなし。

組み立て図

噴霧管 針金のようなものはたぶん「付属の掃除棒」(使用前に管が通っているか試すもの)


 箱の反対側には、「大川式安全吸入器使用法」
 説明図も付いています。「吸入器界の覇王」というコピーがすごいと思いました。
 「釜」(図右端の壺みたいなの)に、「ろうと」を使ってお湯を入れます。余ったお湯を出す時も「ろうと」を使うようです。細長い管(噴霧管)を壺の口に固定して、(ゴムパッキング付きスプリング安全弁が付いています。)器具に取り付けて、アルコールランプに火を付け釜のお湯を沸騰させて蒸気を出します。ラッパというかメガホンというか、な形の筒(「ほや」)を通して、蒸気を吸います。
 蒸気のしずくで衣服がぬれないように、「ゴム引胸掛」(防水のエプロンのようなものでしょうか?)が付いていたようですが、この箱には入っていませんでした。

写真 吸入器

箱を開けてみました。

 部品の説明をします。
 上段左から 「ホヤ」(口元に蒸気を送る管)・噴霧管(箱入り 2つ入っている。)
 中段左から 噴霧管のゴムパッキン部分・ホヤを支える部分・ろうと・コップ小(噴霧管の先が入る。薬液の計量にも使う。このコップで6杯まで「釜」に入るそうです。)・ランプのふた(?)・「釜」(温水や薬液をここに入れて加熱して蒸気にする。)
 下段左から ホヤを支える部分(木製)・滴受けコップ(アルコールランプの燃料の計量にも使う。)・本体・アルコールランプ(ガラス製 芯は付いていない。)


詳しい画像はこちらからどうぞ。使い方の説明も読めます。
http://www.peace-aichi.com/20120822_kyuuunyuuki.pdf

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http://www.peace-aichi.com/05_objects.html