所蔵品から 資料ナンバー6295・5808 その他 足袋と靴下と靴の話       資料班


大阪朝日新聞「グラヴュア・セクション」第2号 第4面

右上:「聴音機」 左上:「食事当番」 下:「廠舎の食事」

 今回は足まわりのものをいろいろご紹介します。
 まず、以前「所蔵品から」でとりあげた、「軍隊の絵はがき」から、当時の兵隊さんたちの履き物がどんなものだったのか見てみます。まんが風の絵なのですが、服装や持ち物はかなり細かく書き込まれているので、参考になると思うのです。
 訓練の時は靴をはいています。ふくらはぎがぴっちりして、横縞が入っています。ゲートルを巻いているのです。偉い人は、黒い長靴です。
 食事当番で食事を運んでいるときにはゲートルは巻いていません。裾がひらひらしています。下駄やぞうりをはいているようです。食事の風景では、地面の履き物に注目してください。靴とぞうりと下駄が混ざっています。

「愛国足袋の仕立方」表紙

「愛国足袋の仕立方」表紙

「愛国足袋の仕立方」

「愛国足袋の仕立方」より
足袋の作り方の説明図

 今回のタイトルの6295番がこちら。「愛国足袋の仕立方」。昭和16年5月発行。足袋と愛国がどうつながるのか。、
 足袋の材料の木綿が不足して、スフ(化学繊維の一種)が使われるようになって、スフの足袋はあまり丈夫ではないので、家庭にある余り布で足袋を手作りするとよい、ということらしい。
 足袋買い換えるお金で、飛行機7000機買えるとか、すごい計算もしている。

 スフ製の足袋は1年に10足くらい必要になるので、「内地にお住いの約七千万人」で1足70銭の足袋が1年で7億足、「四億九千万円。飛行機約六、七千台の製作費となります。」

 あと、足袋の手作りのような小さいことでも、「戦時生活の御婦人に課せられた臣道実践の一つ」で、「重大非常時に対称し、日本女性の心構へを中外に発揮する秋(とき)」という事も書いてあります。
 手作りの足袋の材料の布は、「只今の様な物質不足の非常時は丈夫であれば絣でも縞でも柄物でも結構だと思ひます。」「寧(むし)ろこうした自製の足袋をお穿きの方は目下の重大時局をよく認識して物資愛護の実践者たることを表現することとなり、其方の奥床しい愛国心と引締った賢実味がよく伺(うかが)はれます。」
 手作り足袋で愛国心や忠誠心や奥ゆかしさが示せると、この本は説明しています。「足袋」に「愛国」が付くのはそういうわけなのらしい。

 足袋の作り方ももちろん載っていますが、なかなか難しそう。足の裏と足の甲右半分と左半分を縫いあわせればいいのでは、と思っていたら、足袋はつま先が分かれている。そのへんで「???」なのに、後ろの「こはぜ」のところも難しそう。しかも布は2枚重ねになっていて、表布と裏布を少しずらして縫う、らしい。「カケ」とか「タツ」とか「マワリ」とか謎の用語もでてきて、途中からわからなくなりました。
 足袋作りレベル高い。
 サイズごとの型紙や、足袋カバーと運動靴の作り方も載っています。

靴下更生器 パッケージと足型の型紙

靴下更生器

 資料ナンバー5808は、「靴下更生器」です。
 足の裏というか靴の底というか、の形の厚紙。大と小があり、小さい方(こどもサイズ)はスライドして伸びるようになっています。各種サイズ対応。周辺に沿って、穴があいています。穴の脇に切れ込みがあって、布を挟んで固定することができます。足の裏の形に切った布を固定しておくと、足の裏がすりきれた靴下と縫い合わせるのがやりやすい、という器具なのです。

ちょっと長くなりますが、パッケージ裏の使い方の説明を写します。
(片仮名を平仮名に変えています。旧漢字も今使われている漢字に変えています。)

第一使用法(底全部の付け替え)
一、底に使用する布を型紙より少々大きく切ります。切った布は表を下にして型紙をのせて、上と下の丸穴から先に箸の様な棒で布を差し込みます。両側の小穴へも同様に布を差し込みますと底型ができます。
二、底の破れた靴下は必ず裏返にして「つま先」から「かがと」まで鋏で切り開き(一)の底型を入れて「つま先」「かがと」上下を合わせくるみ、又両側も適当にくるんで、ずり動かぬように押えて、縫い上げて、型を取り外し、縫い目一分を余して切り取り除け、 裏返しますと、新品同様に更生いたします
第二使用法(かがと、つま先の修繕)
一、靴下(かがと)(つま先)修繕には、同じ色叉は他の丈夫な布を用い◎型より少々大きく切ります。
二、切った布の上に◎型をのせて型紙の合せ目に布を差しはさみ込みますと◎型が出来ます。
三、そして靴下を裏返し其の内側から◎型を入れ破れ穴によく合せ押へ型通りこばを縫いい上げ、外部の破れ穴より型を取り外ずし、同時に縫目一分位をあまして、切取り裏返しますと全く外見の良い靴下が出来上ります。

右の様に同じ靴下を何回も繰返して底を付け替える事が出来ますから、長い靴下が短く「カバー」の様に なるまでお履きになれます。
子供さんにも、男子の方にも手軽に出来て実に経済的です。時節柄お互いに此の「靴下更生器」を御使用下さいまして物資節約、資源愛護の国策に即応して頂きたいと存じます。

第二使用法(部分的な補修)には、足裏の形でなく、ドーナツ型の型紙を使うようです。


紳士服・靴

靴下足袋手袋修?用中型
裏(右下写真)にはでこぼこがあります。

 こんなのもあります。陶器でできています。貼ってあるラベルによると、 「実用新案許可済」 「靴下足袋手袋修?用中型」。(?のところはラベルが破れていて読めません。)
 靴下や手袋をかぶせて縫うと縫いやすい、という道具です。

詳しい画像はこちらからどうぞ。足袋の作り方や、型紙を見て頂けます。
http://www.peace-aichi.com/20120222_tabi2.pdf

ピースあいちウェブサイトの、収蔵品の紹介のページからは、バックナンバーの関連画像が見られます。よかったらこちらもどうぞ。
http://www.peace-aichi.com/05_objects.html


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おまけ。