所蔵品から● 資料ナンバー5300・5736 その他 防空カバーの話        資料班


 

 戦争中には、灯火管制がありました。夜間の空襲に備えて、照明の光が外に漏れないように対策をしました。天井から下がる電球に覆いをしたり、光が横に行かないように、側面に色のついた電球を使ったり。窓などに暗幕を付けたりもしていました。

「町屋」展示

5997 町屋の防空カバー 黒 布製

 電灯に取り付けるカバーにはいろいろな種類があります。
2階常設展でも、空襲のコーナーや町屋のコーナーに、いくつか展示してあります。でも置いてあるのを見てもよく分からないですよね。今回は、ピースあいち所蔵の防空カバーをご紹介します。

 町屋の天井の電灯には、黒い布で覆いがしてあります。 電球のまわりを覆って、下向きにしか光が行かないようになっています。窓から外に光が漏れるのを防ぐわけです。

紙製防空カバー

5300 紙製防空カバー

 

 紙製の物も多いです。物資が不足していたこともあるのでしょう。
 これは、資料ナンバー5300。紙コップが大きくなったような形です。

折りたたみ式紙製防空カバー

5305 折りたたみ式紙製防空カバー

 

 あと、紙製なんですけど、面白いのは、折りたたみ式のもの。提灯や曲がるストローみたいに上下に伸びるものもあれば、

折りたたみ式紙製防空カバー

5307 折りたたみ式紙製防空カバー

 七夕かクリスマスの飾りで同じようなのがあったと思うのですが、ひろげると立体的に丸くなるものもあります。

折りたたみ式紙製防空カバー

5736 折りたたみ式紙製防空カバー

 ぺらっと四角いのと丸いのの組み合わせは、四角いのを広げると筒状になります。これで電球の周りを覆います。丸いのは切れ込みを合わせて円錐形にして電球の上からかぶせて、上から漏れる光を防ぎます。

樹脂製防空カバー

5997 樹脂製防空カバー

 これは、町屋コーナーに展示してあるものです。たんすの上に。
 黒いお椀が二つ。プラスチックぽい。ベークライトでしょうか。箱には「寝室兼用 遮光三段式」と書いてあります。明るさ3段階調節の機能があるようです。二つのお椀は、口のところがねじになっていて、はめ込むことができます。写真中央の大きい穴のある方ので電球を覆うのが基本形で、写真左のをはめると光が細くなる。小さい穴のあいた、スライド式のふたが付いているので、ふたを開けた時と閉じたときで、さらに2段階の調節ができる。のだと思うのです。

「東京府に於ける一年間の灯火管制を行ふ時間表」

5300 (部分) 「東京府に於ける一年間の灯火管制を行ふ時間表」

 紙製のカバーには、灯火管制の方法を説明した紙が貼ってあることがあります。
ナンバー5300、青色の紙製のカバーには、こんな表が貼ってあります。
「東京府に於ける一年間の灯火管制を行ふ時間表」
 日の出・日の入りの時間は、季節によって変わるので、灯火管制が必要な時刻(というか外が暗くなる時間帯)も一年の中で変化します。
月を前半と後半で分けて1年間を24に区分して、期間ごとに、夕方何時から朝何時まで灯火管制をしなさい、という表です。
 ちなみに、11月16日から30日までは、午後4時30分から午前6時20分までです。

 ナンバー5736には、こんな説明が付いていました。

角字

5736 (部分)

 「平素と異らず業務に従事」することができると書いてあります。
 灯火管制は、おうちの中だけでなく、職場でも実施されていたのですね。考えてみれば、工場などは最初に狙われるだろうな、と思いついて、納得するのですが。

 「正しい灯火管制の方法」という所を読むと、灯火管制には警戒管制・空襲管制の2段階あったことがわかります。
 警戒管制のときは、減光(光を弱くする)と遮光(外に漏れる光を防ぐ)をします。
「秘匿する程度によって」甲(厳しい)乙(ゆるやか)2種類あります。表の左下の「仝」は、同じ、という事です。
「燭光」は、光の強さの単位で、大まかに言うと、「ろうそく1本の明るさ=1燭光」です。
 空襲管制の時は、説明書きによると、
「空襲管制は消灯するか屋内の光を全然外へ出さないやう蔽隠しなければなりません」となっています。
隠蔽(いんぺい)は聞いたことありますが、逆にして蔽隠。

 「定価 金貳拾五(二十五)銭」は、今なら、数百円というところでしょうか。この資料は、3枚セットになっていたので、おそらく3枚での値段です。


詳しい画像はこちらからどうぞ。「説明書き」も詳しく見ていただけます。
http://www.peace-aichi.com/20111122_boukuukaba-.pdf

ピースあいちホームページの「所蔵品の紹介」ページもごらんください。
バックナンバーの関連画像もあります。
http://www.peace-aichi.com/05_objects.html